金沢城リレーマラソン2022 春の陣 完走後の1枚
昨今のランニングブームにより、健康のためという人からマラソン大会で好成績を残すことを目標にする人まで、幅広い方々が日頃ランニングを行っています。
走っているときに足の裏、膝、太ももなど痛くなってどうしようもなくなったことを経験された方も多いのではないでしょうか。整形外科医として、痛みを少なくしてランニングやマラソンをするアドバイスを述べたいと思います。
- ランニング中の足指、足裏の痛み
足底部や足趾の痛みを訴える方は、とにかくランニングシューズが自分に合っているか検討するのがよいと思います。まずはシューズと足先に遊びがないか、横幅は合っているかです。足先に遊びが大きいと踏み込んだ際に足先がシューズのつま先方向へ微妙に移動して爪がシューズと当たり、爪の痛みや爪下の内出血の原因となってしまいます。次に横幅です。長い時間走っていると足は疲れて土踏まずは下がってきます。そうすると足の横幅は徐々に広がってきます。横幅がジャストフィットで締め付けが強いなと感じるようなものですと、時間とともに足の幅が広がってきて小指側がシューズに押し付けられて痛みを発するかもしれません。そして、なにより足の土踏まずの形がシューズに合っているかが重要です。走っていると疲れにより土踏まずが下がってきて扁平足になってきます。すると、足底腱膜という足の裏にある膜が突っ張るため、かかとの痛みの原因となります。疲れにくい足のためには土踏まずの高さの維持は大切です。シューズの中に入れる既製品のインソールはスポーツ店で販売されていますが、使ってみてなかなかフィットしないようなら自分の足裏に合わせたインソールを作るのをお勧めします。インソールの工夫で、約2年間悩んだ足底部の痛みから解放され、現在、私の足裏は絶好調です。
- ランニング中の膝の痛み
ランニング中に膝痛が出現するというのはよく経験します。自分では大腿部の筋力トレーニング不足の時によく起こる現象です。膝を安定させるため、通常のランニング練習の他、スクワット、LSD(long slow distance)でのランニングが必要と思います。そして、いざ本番。実際の痛みへの対処です。長距離を走る前にCOX2阻害薬(セレコックスという消炎鎮痛剤)という痛み止めを内服するのは膝痛を抑えるのに適しています。COX2阻害薬は軟骨の炎症を抑えるため、走っているときに膝の炎症が起きにくく、ランニング時の膝痛を抑えます。
次にいざ走り出してから距離も長くなってくると、太ももやふくらはぎが張ってきたり、痛くなってきますね。いわゆる筋肉痛です。マラソンでは25~30㎞くらいから様々な筋肉が悲鳴をあげて痛くなってくると思われますが、その際には予防的に20㎞程度で通常の痛み止め(ロキソニンなど)の内服が有効です。内服薬は効果が出るまで30~40分くらいかかりますので、事前投与が有効なのです。ただ、走っているときに薬を飲むときは十分量の水分も摂取しないと腎臓への負担が大きくなります。くれぐれも脱水にならないように渇きを感じる前から少しずつ水分を摂りましょう。
10月の金沢マラソン目指して、さあ、みなさん外へ飛び出しましょう!