前回のコラムでは、へバーデン結節やブシャール結節の予防に対してのエクオールサプリメントの内服についてお話をしました。では、実際に関節が変形して、痛みや腫れが強いときはどういった対処法があるのでしょうか?
へバーデン結節やブシャール結節では関節軟骨が減少して、関節裂隙(関節のすきま)が狭くなってきます。それと同時に関節を支える靭帯も緩むため、関節には不安定な動きを生じます。その結果、関節周囲の骨に負担がかかり、骨棘という骨のトゲが関節周囲に発生して痛みが強くなっていきます。
手指の関節障害では、このように第1関節が変形して痛む段階になってから医療機関に受診される方が一番多いのではないかと思われます。痛みをとるためには、薬物治療(内服、塗布薬、プラセンタを中心とした注射治療)、リハビリ(前腕筋膜リリース、夜間の固定、腱鞘のストレッチなど)での運動指導、その他に装具治療が考えられます。
今回は関節を安定させて腫れと痛みをとる方法を具体的に紹介します。変形した関節では関節を支える組織が緩むためにぐらつき感が生じて、軟骨が摩耗しやすい状態となります。そのため、へバーデン結節では関節を動かさないようにするため、日常生活でテーピングをするように言われます。
テーピングは安価で手っ取り早い方法ですが、巻くのが手間であるとか、濡らすと蒸れるため濡らすことができないといった問題点があります。そこで、当院では日常生活で手指を使うときに痛みで困る方には、へバーデンリングの装着をお勧めしています。
へバーデンリングは錫(すず)でできた柔らかい金属製リングです。株式会社能作(のうさく)で製造しており、わたくしの出身教室である金沢大学整形外科 手外科グループと共同開発で作製したものです。サイズバリエーションが豊富であり、どの指にも適合させることができます。当院では、日常生活で第1関節の痛みが強い方にはへバーデンリングを3か月間、日中に装着していただくようお話しています。その間に関節部が安定し、腫れや痛みが引くことを目的としています。
第2関節が痛くて使いづらい人にはブシャールリングがあります。
いずれも水仕事の時にも装着可能で、いかにも装具をつけているという感じではなく、スタイリッシュなのが特徴です。
当院では指のサイズを計測して、サンプルにて指への適合を確認して処方いたします。痛みが強い方は早期に装着することで、関節がさらに変形していくことを予防する効果もありますので、ぜひ相談にお越しください。